SFC「ソーシャル・ビジネス・プランニング」の授業に参加して
posted on 2009年7月28日 02:43
広石です。
僕は今春から慶應義塾大学SFCで「ソーシャル・ビジネス・プランニング」の授業を担当しています。
4月から始まった授業は、講義、ワークを経て、学生がチームで自ら作成した事業プランを、
7月7日、14日の発表会で発表します。
授業や発表会にコメンテーターとして参加してくれた諏訪玲子さんが、授業を見学した感想を
コラムとしてくれましたので紹介します。
彼女は、「数年前、自分が大学生だった頃には「NPOで働くという選択肢がある」ということ自体が
驚きだったのに、今の学生にとっては社会起業やNPO立ち上げも普通の選択肢だし、むしろ、
いくら稼げるかといったことがテーマになっているのが、興味深い!」と語っていました。
そんな思いも含めたコラムです。
ソーシャル・ビジネス・プランニングの授業に参加して
~社会問題とビジネスの両立が当たり前の時代へ
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに、「ソーシャル・ビジネス・プランニング」という人気の
授業がある。社会の課題を事業により解決することを目的に起業を行う「社会起業家」という
言葉が、メディアでも近年よく取り上げられているが、特に大学生の間での関心はとても強い。
その社会起業家の発想や視点を学び、いつか自分でも事業をつくりたいと考える若者たち
40名弱が授業に"参加"している。授業では、海外の先行事例などを基にポイントとなる要素
について学び、さらに自分の興味ある分野の先行事例を分析し、最後に自分の思い、実現した
い事業をチームでプランとしてまとめて発表する。
その最終発表会で出されたプランは、「教育(子どもが地域で夢を見つける、高齢者と子どもが
つながる)」「農村と若者のつながり」「都市の人材活用(就職できない若者、意欲の低い大学生、
経験を活かせていない人材)」「発展途上国支援(プランテーション従事者の支援、教育支援)」
など、従来社会問題として認識されてきている分野から、「NPO支援のための新しい寄付文化」
「インターネットで心の傷を負った人の支援」「子育て/キャリアの自分らしいバランスのサポート」
など、近年注目を集める分野まで、幅広く各々の興味関心が表れたものであった。
「都会の大学生と地方の農家を結びつける仕組みにより、大学生の健康管理と農業の活性化を
目指す」「人材不足の業界と就労体験の少ない若者を結び付け、就業訓練から採用、雇用環境
まで一貫した仕組みをつくり、若者の人材活用を目指す」「日本の大学生が発展途上国に鉛筆を
送り、そのお礼として手紙を返してもらう仕組みにより、日本の大学生の意欲向上と途上国の
教育支援の好循環を目指す」など、どのプランも困っている人に焦点を当て、その人をサポート
し、さらに、その人たちの可能性を引き出す仕組みを考えた上でビジネスを創り出そうとしている。
少し前なら、ボランティアで助成金や支援を募ってやろうというようなことだが、彼らはいかに
ビジネスを創り出せるかということを真剣に考えている。ただお金を儲ければいいというのでも
なく、どうにか活動費を捻出するというのでもなく、社会的価値のあるものからはビジネスが
生まれるという感覚が当たり前としてそこに存在する。
世の中のために何かをしたいという若者は多い。そのための方法が「一流企業に就職すること」
や「研究者になること」だけではないと気付いてからも、多くの若者が道を見つけられずにいる。
自分の思いと生活能力のバランスで道を迷う人も多い。そんな中、現在、授業を受ける彼らの前
には、社会起業という道が当たり前に存在する。これは、若者の力を最大限に活かせる社会へと
変化していることを、我々に教えてくれている。
社会起業家という言葉が世に知られるようになり、大学生が社会問題解決とビジネスの両立を
真剣に考える。そんな新しい「当たり前」の感覚を、社会で活かしていけるように、我々は彼らを
大切に育てていかなければいけない。
大切に育てられた彼らの未来に、新しい社会が見える。
(諏訪玲子)
☆根津スタジオでは「ソーシャル・ビジネス・プランニング」の内容のもととなったワークショップ
「社会起業プランニング」を、8月5日・6日の2夜連続講座として集中開催します。
http://nez-studio.jp/workshop/2009/04/post-10.html

